RCサクセション 「ゴールデン☆ベスト RCサクセション 」


ゴールデン☆ベスト RCサクセション

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「ボスしけてるぜ」や「トランジスタ・ラジオ」をはじめとするキティ・ポリドール時代の音源と、東芝EMI時代の代表曲から構成。4社共同企画《ゴールデン☆ベスト》シリーズの1枚。


曲目
1. ロックン・ロール・ショー
2. SUMMER TOUR(シングル・ヴァージョン)
3. Sweet Soul Music
4. わかってもらえるさ
5. よごれた顔でこんにちは
6. ヒッピーに捧ぐ
7. やさしさ(シングル・ヴァージョン)
8. ボスしけてるぜ
9. キモちE
10. トランジスタ・ラジオ(シングル・ヴァージョン)
11. ベイビー!逃げるんだ。
12. 明日なき世界
13. サマータイム・ブルース
14. サン・トワ・マ・ミー
15. 雨あがりの夜空に
16. スローバラード(シングル・ヴァージョン)


忌野清志郎は日本が生んだ世界に誇る不世出のアーティストである件について。

彼の発声が素晴らしい。一音一語を明確に叩き付けるように歌うスタイルがいい。
彼の歌詞は基本的に100%創作ってのが無くてリアル(実体験に基づくものが殆ど)でいい。
彼の風貌とステージアクションが良く似合っていていい。
彼のぶれない基本姿勢がいい。
彼のオフステージでの照れ屋ぶりと、オンステージでの底抜けさとのギャップがいい。
彼の怖いもの知らずで反骨心溢れるロック魂がいい。

「日本語のロック」なんて改めて口に出して言うのは気恥しいが、とにかく清志郎が作り上げたのは間違いない。
俺が高校1年の時にラジオから流れて来た「トランジスタラジオ」は衝撃的だった。
授業をサボるなんてのは俺らが高校の頃じゃ当たり前の話だった。
ついでに言えばタバコ(セブンスター)を吸っては世間話していてヒット曲のチェックはしていなかったんだが。
清志郎の一度聴いたら忘れられない声と親しみやすい歌詞が印象的だった。
しかもその歌詞がライヴでは「君の知らないメロディ♪、聞いたことのないヒット曲」に続
いて最後の最後に「聞いたことなんかない」と冷たく突き放す衝撃で終わる。
名曲「スローバラード」でも似たような展開が出て来る。
「僕ら、夢を見たのさ。とっても良く似た夢を」つまり、二人が見た夢は同じでは無かった。似てはいたけど、違う夢だったということ。
通常のラブソング歌詞ではあり得ない発想だ。冷徹な現実感で曲が終わる。

忌野清志郎はオーティス・レディングに代表されるソウルミュージックに傾倒しつつも、時代の流れとして当初フォークチックなスタイルだったが、これまた時代の波に乗ってパンキッシュなスタイルに自分を変えた。
多分当時世界を席巻していたセックス・ピストルズの影響だろう。それが成功した。
ストーンズのミック・ジャガーに影響されたであろうステージアクションも、次第にオリジナルと化した。
チャボとのコンビはミックとキースのそれに憧れがあったことは間違いない。

メディアはRCのアピアランスや言動を「新しい時代の寵児」のように扱ったが、実は70年代前半からとっくに清志郎達がやってきたスタイルだった。
つまり、清志郎の前衛さに時代がついてこれなかったのだ。

動画は個人的にベストパフォーマンスと呼べるものを集めた。
尖がっていた80年代までが好きだ。
「ロックンロールショウ」…「夜のヒットスタジオDELUXE」より。この曲は1コード進行でシンプルさがカッコいい。
「役立たずの神様!」なんて歌詞を他の誰が考えるだろう。

「あきれて物も言えない」…「どっかのヤマ師」とは泉谷しげるを指す。
オリジナルは「びっこのヤマ師」である。
泉谷が当時腐っていた清志郎を激励しようとして、「あいつはもうダメだ」みたいなことを言ったのが清志郎の耳に入り激怒。この曲が生まれた。
しかし、香典を集めてパーティーでもやってるみたいなブラックな歌詞、今後も出ては来ないだろう。

「ヒッピーに捧ぐ」…ライヴ「ティアーズ・オブ・クラウン」より。
下積み時代に親しかったスタッフが死んだ時の心情をストレートに歌にしている。
「検死官と市役所は君が死んだなんて言うのサ」。最後はそのまま号泣を表現している。
こんな鬼気迫るパフォーマンスは前代未聞だろう。
清志郎の真骨頂と呼んでいいと思う。

「エンジェル」…ストーンズの「アンジー」にインスパイアされたか? 静かで切ないバラードを清志郎が歌うと、ぐっと胸に来るものがある。
「神様お願い。あのコを返して」というフレーズが耳に痛い。

「ベイビー逃げるんだ」…武道館ライヴより。
こんな歌は清志郎以外には歌えっこない。また言葉遊びも上手い。
「ベイビー、逃げるんだ」と叫んだ後の「げるんだ、げるんだ(Get itdown)」あたりビートルズの影響か。

不世出のアーティスト忌野清志郎はこれからも俺らの中でシャウトし続けるだろう。
彼のことだから「香典集めて遊んでる」に違いない。あの世で楽しくやってるに決まっている。

キング・オブ・ライヴに死はない。
一度は自らの手で終わらせた「ロックンロールショウ」は再び始まっているのだ。




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日本ロックの黎明期を支え、完成まで持って行った伝説バンドのパフォーマンスを感る事ができるライブアルバム。


タイマーズ  THE TIMERS
忌野清志郎がヴォーカルを務める謎の4人組覆面バンドの1stアルバム。
個人的には、このバンドを知らずして日本のロックを語って欲しくないってくらいの存在です。