ディープ・パープル 「紫の神技~ライヴ・イン・カリフォルニア・ロング・ビーチ・アリーナ1976」


ライヴ・イン・カリフォルニア・ロング・ビーチ・アリーナ1976【2CD】

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リッチー・ブラックモアがディープ・パープルを脱退後、アメリカ人のトミー・ボーリンをギタリストに加えた第4期ディープ・パープルによる1976年カリフォルニア・ロング・ビーチでのライブを収録したアルバム。


曲目

ディスク:1
1. Burn
2. Lady Luck
3. Gettin' Tighter
4. Love Child
5. Smoke on the Water [Incl. Georgia On My Mind]
6. Lazy
7. Grind

ディスク:2
1. This Time Around
2. Tommy Bolin
3. Stormbringer
4. Highway Star [Inc Not Fade Away]
5. Smoke on the Water [Incl. Georgia On My Mind][Version]
6. Going Down
7. Highway Star [Vsn 2]

多摩ジムに75年か76年のミュージックライフ誌が置いてあるんですが、そこに載っている「人気バンド部門ベスト10投票集計結果」を見て驚きました。
ディープ・パープルよりZEPの人気が上になってるんです。
従来の私の認識では、日本ではずっとパープル人気が高くて相対的にZEPは低かったはず。

しかし後年、アメリカでのZEP人気が日本に押し寄せた結果、ZEP人気も日本にじわじわと浸透したんだと思い込んでいました。
事実、79年のミュージック誌(確かその年に廃刊)にあった「好きなハードロックバンドベスト10」での№1はダントツでパープルでしたからね。
2位にスコーピオンズ、3位か4位にZEP、9位ヴァン・ヘイレン、10位にジューダス・プリーストあたりでした。
ま、ZEPをハードロックバンドと捉えるか否かは議論が別れるところでしょうけど。
それにしてもミュージック・ライフ誌の一件はリッチー脱退後のパープル人気の凋落振りを改めて知らされた気分になったものです(リッチーは75年にパープル脱退)。
リッチーの後任になったトミー・ボーリンは本来、ハードロックギタリストではありませんでした。
エモーショナルではなく比較的ドライな幅広いテクニカルアプローチをする人で、エフ
ェクターを多用したジャズプレイなどが得意なスタジオミュージシャンといった印象。
決してステージで派手なアクションで観衆を煽ったり、キメを演出するようなスタープレイヤータイプではないわけです。
彼はパープル最後の来日公演の際、劣悪なドラッグの摂取過多で殆ど左腕が動かず、ボトルネックでごまかすプレイや稚拙なフレージングしか披露出来ずに酷評されました。
その実況盤が「ラストコンサート・イン・ジャパン」です。
確かに酷い出来です。恐らく、トミーは新曲が全くウケず、あまつさえリッチーコールさえ起こるステージに耐えられず、ドラッグによる現実逃避に拍車がかかったのではないでしょうか。

本作はトミーが遺憾なく実力を発揮しているⅣ期最高のライヴです。
トミーも元気で「ラストコンサート・イン・ジャパン」とは全くの別のプレイを聴かせてくれます。
またイアン・ペイスは相変わらず全盛期で素晴らしいドラミングを聴かせてくれますし、トミーと息のあったグレン・ヒューズも嬉々として「ジョージア・オン・マイ・マインド」を歌い、ベースを弾きまくっています。デヴィッド・カヴァーデイルも頑張っていますね。
個人的には「レイディ・ラック」、「ゲッティン・タイター」、「ラヴ・チャイルド」、「ユー・キープ・オン・ムーヴィン」などの新曲も大好きですし、トミー流の「レイジー」もありっちゃありでしょう。
特に後ノリの「ハイウェイスター」はギターソロ以外はかなりカッコいいと思います。

このライヴはそこそこ成功したのでしょうが、リッチー在籍時の神懸ったような狂乱のライヴではありません。
聴き方によってはディープ・パープルという巨大なバンドの最期の呻き声なのかも知れません。
バンド創成期からの唯一のメンバーであるジョン・ロードは辛かったでしょうね。
それを想うとなんだか悲しくなります。
動画は残念ながら「ラストコンサート・イン・ジャパン」のものしか残っていません。うーん、トミーのプレイは酷いですね…