ディープ・パープル 「ヴェリー・ベスト・オブ・ディープ・パープル」


ヴェリー・ベスト・オブ・ディープ・パープル

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ディープ・パープルが68年~84年までに発表した計26枚のアルバムから厳選した曲を収録した究極のベストアルバム。


曲目
1. ハッシュ
2. ケンタッキー・ウーマン
3. ブラック・ナイト
4. スピード・キング
5. チャイルド・イン・タイム
6. ストレンジ・ウーマン
7. ファイアボール
8. デイモンズ・アイ
9. ハイウェイ・スター
10. スモーク・オン・ザ・ウォーター
11. スペース・トラッキン
12. ウーマン・フロム・トーキョー
13. 紫の炎
14. 嵐の使者
15. ノッキング・アット・ユア・バック・ドア


先日FMを聴いてましたら小林克也氏がパープルについてZEPと比較しながら語っていました。
氏は取材だかインタビューだかで第2期パープルと会ったそうで、その時のパープルの印象は
「職人集団だ」だったとのこと。ロックスターというよりは一流のセッションマン集団に見えたんだとか。
さすがは小林氏、鋭いですね。
確かにパープルは職人集団です。
バンド結成の成り立ちから見てもそれは明白です。演奏スタイルも、曲よりもジョンとリッ
チーによる即興演奏に比重が置かれていました。
言って見れば、演奏するきっかけになりさえすれば、曲は何でも良かったんじゃないですかね。
とにかく2人の長い長い即興&実験的なインタープレイがステージの殆どを占めていましたから。
小林氏は言います。
「ZEPは曲を残し、パープルはリフを残した」言いたいことは分かるんですが、僭越ながら、これには納得しかねます。
確かにジミー・ペイジは曲の完成度を求め、グルーヴ感を出すためにバンド全体を掌握したイメージが強いのに対し、パープルは、気まぐれなリッチーをはじめ、曲作りに参加しなかたっというジョンやプレイ出来れば文句はないというスタンスのイアン・ペイスなど、明らかに個人商店というか一匹狼集団だった印象が強いです。
各人の技術は凄いけれどバンド全体のまとまりには欠けていたと言えますか。
しかしながら個人的にはリフ作りはジミー・ペイジの方が若干上ではないかと。
当初リッチーはさほど曲作りが得意じゃなかったとも拝聞しますし、リフ以上にメロディを重視したはず。
リフ・マイスターの腕としては僅差ながらむしろペイジに軍配が上がる気がするんです。

ZEPのリフで有名どころでは、
1.シンプルなホール・ロッタ・ラヴ、ロックンロール、ノーバディーズフォールト・バット・マイン、カスター   
ド・パイ
2.表と裏のリズムギミックを用いたブラック・ドッグ
3.攻撃的なイミグラントソング、アキレス・ラスト・スタンド
4.レゲエサウンドのデイジャ・メイク・ハー(ジャマイカ)
5.モータウンサウンドに影響されたトランプルドゥ・アンダーフット
6.アンサンブルが光るソング・リメインズ・ザ・セイム
7.軽快なリヴング・ラヴィング・メイド
8.ユニークなザ・ローヴァー
9.壮大なカシミール
等など名曲が目白押し。基本にブルースが介在しているのが特徴。

一方リッチーは、
1.「世界一有名なリフ」スモーク・オン・ザ・ウォーター
2.疾走系ではファイアーボール
3.ストレートでハードなレディ・ダブル・ディーラー、レイダウン・ステイダウン
4.得意のシャッフルではレイジー、パクリではありますがブラック・ナイト
5.ヘヴィなイントゥ・ザ・ファイア、ノーバディ・ケイム、フールズ
6.ミドルテンポのノー、ノー、ノー、ネヴァー・ビフォア
7.ハードロックの集大成とも言えるチャイルド・イン・タイム
8.ハードブルースなミストゥリーテッド、リヴィング・レック、セイル・アウェイ
9.後のヘヴィメタルムーヴメントを引き起こした様式美が光るハイウェイ・スター、バーン、スピード・キング等の、これまた珠玉の名曲が並びます。
ブルースに拘りを持ってない点が特徴です。

ZEPは圧倒的な市民権を背景に種々の音楽を実験的に取り込み、自身の音楽性を拡げた結果ファン層のすそ野が広がったの対し、パープルは良くも悪くもハードさに拘った結果、袋小路にハマり込んでしまった感があります。

個人的にはこう考えます。
「ZEPはリフとグルーヴと転調・拡散、パープルはメロディとリフと即興・キメ」
この定義の代表曲としてはZEP=トランプルドゥ・アンダーフット、ステアウェイ・トゥ・ヘヴン、パープルはバーン、チャイルド・イン・タイムを挙げると分かりやすいでしょうか。

私のようなオールドファンはこうやってZEPとパープルを比較したがるんですが、実のところ無意味なことです。
ZEPの曲群の中に一部、ハードな曲風があって、そこがパープルと少し印象がカブるという程度。
決してZEPはハードロックバンドではありませんから。
実際、欧米でのZEPってフェラーリみたいな扱いですもんね。
絶対の存在。ライバルなんていない。
一方のパープルはポルシェでもない、せいぜい絶頂期のランチアかマセラティくらいか? あるいはBMW2002だったのかも知れません。
しかし日本のロックファンにはパープルが見せてくれた一瞬の閃光が忘れられないんです。
その形見として有名な「ライヴ・イン・ジャパン」が存在し、そこに残された閃光の輝きがあまりにも鮮烈だったからパープル人気が根強いんです。