GUNS N' ROSES 「CHINESE DEMOCRACY」


CHINESE DEMOCRACY

新品価格
¥130から
(2014/5/17 13:55時点)



遂に、遂に完成!
『ユーズ・ユア・イリュージョン』(1991)以来実に17年ぶりとなる、ガンズ・アンド・ローゼスのスタジオ・オリジナル・アルバムが登場!


曲目
1. チャイニーズ・デモクラシー
2. シャックラーズ・リヴェンジ
3. ベター
4. ストリート・オブ・ドリームス
5. イフ・ザ・ワールド
6. ゼア・ワズ・ア・タイム
7. キャッチャー・イン・ザ・ライ
8. スクレイプト
9. リヤド・アンド・ザ・ベドウィンズ
10. ソーリー
11. I.R.S.
12. マダガスカル
13. ディス・アイ・ラヴ
14. プロスティテュート

2008年、いや21世紀に入って現時点までの最大の事件が起こりました。能書きは後にして早速曲ごとの私なりの解釈を。

1.タイトルトラックは本作で唯一、かつてのGN’Rを彷彿させるエッジの効いたリフ主体のハードロックサウンド。01年のRock In RIOヴァージョンよりかなりデジタル処理が施されている。シンプルでライヴのオープニングに持って来いという感じ。
2.「Shackler's Revenge」はキャッチーなサビと全体を覆うデジタル処理、そしてデスメタリックな曲調が印象的。アクセルは確信犯的に低音のヴォーカルを効かせており聴き手は当初、若干不安になる。
3.「Better」は個人的に凄く気に入っているハード・ブルースで、ロビン・フィンクとアクセルの共作。ただ、バケットヘッドの不要な速弾きはNG。ヴォーカルが非常に魅力的でアクセル節健在といったところ。
4.「Street Of Dreams」は過去のライヴで演奏され、本作発表前に「The Blues」として音源がリークされたことでも知られる名バラード。アクセルの高音が凄い。
5.「If The World」はキャッチーなメロディラインとアクセルらしい孤高のヴォーカルが心にすじんと響くハードなバラード。シンセが効いている。ラッセル・クロウとレオナルド・ディカプリオが出演している映画『Body of Lies(邦題:ワールド・オブ・ライズ)』のエンド・ロールで流されるらしい。
6.「There Was A Time」はブルージーなギターソロがいい。7分にも及ぼうかという大作で本作のハイライトと呼べるかも知れない。今風なアレンジが為されているモダンハードロックとでも言えようか。次第に盛り上がるアレンジで、その頂点でのアクセルの超ハイトーンが物凄い。ライヴでは再現するのが難しかろう。
7.「Catcher In The Rye」Queenのブライアン・メイが参加したことを公言していて手放しでこの曲を褒めている。展開がめまぐるしくバラードという範疇には収まりきれない。随所にGN’R節も散りばめながら明暗をはっきりとつけたアレンジ
が為されていて6分弱の大作となっている。意識したとは思えないがビートルズっぽい展開を少しだけ感じる。
8.「Scraped」久々に攻撃な曲。ずっしり重いリフに乗ったアクセルのハイトーンシャウトが凄い。アクセルはGN’Rをただのロックンロールバンドにはしたくなのだろう。アクセルなりの現代ロック風なアレンジが曲全体を覆っている。
9.「Riad N'The Bedouins」出だしの”Ah~”がいい。やはり勢いのある曲が個人的には好きだ。それにしてもアクセルの喉の調子はよほど良いらしい。全盛期ばりにハイトーンが伸びやかだ。スリリングなリフでのギターソロもいい感じ。バケットヘッドは凄腕なのは認めるが、曲調に合ったソロを考えるべき(と言ってももはやバンドに在籍していないが)。
10.「Sorry」一転して再びバラードとなるが、とにかく暗く哀しい。いまどき珍しいトレモロをかけたギターが70年代風。何だか聴き手まで暗く重い気持ちにさせられる。
11.「I.R.S」アクセルの伸びやかなヴォーカルが効いているハードバラード。しかし、それにしても繰り返しになるがアクセルのヴォーカルが凄い。
12.「Madagascar」Rock In RIOでお披露目済み。「話しかけられることはもうないだろう」という、実に哀しく寂しい詩から始まる。シンセの物悲しいリフが延々と続く。
13.「This I Love」GN’R、あるいはアクセル個人としても非常に珍しい純愛風味の失恋ソング。アクセルがこんな曲を歌うとはかなり意外。失恋の経験のある人はハマると思う。非常に切ないメロディーとリリックがアクセルに案外フィットしている。アクセルの歌唱力に改めて脱帽。
14.「Prostitute」リリックがスラッシュやダフ、イジーあたりへのメッセージに聴こえてしまうが、曲調はどこか吹っ切ったような明るさがある。アルバムの最後は明るく締めくくろうと言うのだろうか。

本作はアクセルの壮大なソロアルバムです。断言します。
アクセルがトミー・スティンソンやロビン・フィンク、ポールトゥバイス、ディズィー・リード、クリス・ピットマンといった「一時的メンバー」と共作したことは間違いないんでしょうが、彼らの演奏は全てアクセルのヴォーカルを引き立てるための黒子でしかありません。
14年間に及ぶアクセルの怒りや悲しみ、孤立、孤独感、焦燥感、人間不信が吐露されてますね。
画像掲示板「明和水産」の「音楽(洋楽)」板にて秀逸な意見を発見しましたので貼ります。

「重い。とにかく重い。 この十数年間、溜まりに溜まったアクセルのさまざまな感情が アルバムの隅々にまでブチまけられている。世界中のファン、去っていったメンバー達、そしておそらくアクセル自身にとっても 身に詰まされるような歌ばかり。
かつてのガンズのような軽快なロックンロールはひとつも無い。
これはもう完全にアクセルのソロアルバムとも言えるが、長い独白のような曲が多くを占める内容は、明らかにUSE YOURILLUSIONの流れを汲むもの。
90年代からずっと作り続けていたモノだけに、音楽的には正直古臭さを感じる部分もあるし 個人的には世に出るのが遅すぎたと思っているが、アクセルにとっては本格的なシーン復帰の前に『吐き出しておかなければならないもの』だったんだろう」

うーん、鋭いですね。激しく同意です。
問題は今後です。鬱憤を吐き出したのはいい。だったらその後は?となるわけです。
私は今のアクセルに最も必要なのは彼の右腕になるような、アクセルとほぼ対等な立場で発言出来、アイディアを出せるミュージシャン、それも出来ればギタリストだと思います。
ポール・トゥバイスを性格的に買ってるようでしたが今はそのポールとも袂を分かったようです。
とにかくバンド全体のダイナミックな曲が欲しいです。印象的なリフのある明快なロックンロールがあってもいいのではないかと。

とにかくGN’Rは新たなスタートを切りました。
是非パーマネントなメンバーによる新作を矢継ぎ早にリリースして精力的にライヴをこなして欲しいものです。
何せここまで愛憎の対象にされるほど無視できないミュージシャンも稀有ですから。
本作はある意味「踏み絵」みたいなモノと呼べるかも。
私らファンも、いつまでも1stの幻影に捕らわれていないで、そろそろ成長しないといけないのかも知れませんね。
ただし。ノリのいいソリッドでハードな曲とアクセルのヴォーカルは死ぬほど相性がいいんです。
それを知っている私たちは永遠にその快感を忘れ得ないのかも知れません。