虹伝説 「虹を継ぐ覇者」


虹を継ぐ覇者

中古価格
¥980から
(2014/5/17 21:49時点)



日本の実力派ハード&メタル系プレイヤーによるレインボーのトリビュート・アルバム。各期からうまく選曲された構成に,なんと本家からジョー・リン・ターナーとデイヴ・ローゼンタールも特別参加。なんとも豪華で虹への愛情に満ちた超コピー・バンドだ。


曲目
1. 虹の彼方に~キル・ザ・キング
2. スポットライト・キッド
3. アイズ・オブ・ザ・ワールド
4. 銀嶺の覇者~ミストゥリーテッド
5. ロード・トゥ・バビロン~バビロンの城門
6. オール・ナイト・ロング
7. スターストラック
8. ストリート・オブ・ドリームス
9. ドリンキング・ウィズ・ザ・デヴィル
10. ロスト・イン・ハリウッド
11. ア・ライト・イン・ザ・ブラック
12. 虹の彼方に~リプリーズ~
13. レインボー・アイズ

90年代中盤頃からいわゆるトリビュート盤が大流行しました。
ZEPやエアロ、KISS、WHOやジューダス・プリースト、アイアン・メイデンなどHR/HMモノが多かったようです。
環境面において昔と現代とで最もレベルが違うのは機材の発達です。
なので現代のデジタル音源を70年代初期あたりのアナログレコードと聴き比べると、好みは別として録音状態(レベル)が天と地ほど違うんですね。
せっかくの名演も名曲も録音状態の悪さ故に台無しってまでは行きませんけど、魅力が大幅に削減されてるってパターンも多いと思うんです。
だから、現代のミュージシャンのテクニックとスタッフの最新録音技術でもってかつての名曲をリカヴァーしようと。
それがトリビュートアルバムのコンセプトですね。
勿論、最初に挙げたようなバンドにインスパイアされて音楽を始めたガキ達が今じゃすっかり斯界で活躍する売れっ子ミュージシャンになってたりするので、彼らにしてみれば再度自らのルーツを明らかにして、敬愛を込めて憧れのバンドの名曲を演奏して録音したいという欲求もあるでしょう。
で、そのトリビュートブームの中でもディープ・パープル系は特に多くのアルバムがリリ-スされたと私は思ってるんですけど、違いますかね。
そこに私はパープルの偉大さと影響力、人気ぶりを再発見したんですけどね。

本作は96年に発表されたレインボートリビュートアルバムです。
さすがにアメリカでは無名に近かったせいか、あまりレインボーモノは他に見かけません。
本作最大の特徴はレインボーへの愛、尊敬が感じられる点です。
選曲にそれが顕著に現れている気がしますね。
このアルバムでは梶原章という、恐らく日本のリッチー信者の中でもダントツの腕を持つギタリストが参加し、リッチーフレイバーを炸裂させています。
ヴォーカルはパワーヌードの森川之雄。
ちとダーティな声質ですが高音まで良く出るシンガーで、ロニー、グラハム、ジョーという全くタイプの異なるヴォーカルを歌い分けています。
それぞれ個性が過剰なほど豊かですのでかなり難しい作業だったんではないでしょうか。
選曲もなかなか凝っていまして、「Kill TheKing」、「Spotlight Kid」といった歴代オープニングナンバーや「Drinkin' With TheDevil」、「Lost In Hollywood」、「A Light In The Black」などの疾走系を多く取り入れています。
また「Man On The Silver Mountain」ではパープル時代の名曲「Mistreated」をメドレーに入れるなど、なかなかオシャレなアレンジも感じさせます。
オシャレと言えば「Starstruck」の出だしもジャジーですし、12人の森川氏によるアカペラオープニングの入った「All Night Long」もカッコいいですね。
一番私が気に入っているのが「Gates Of Babylon」です。このトラックのために末期レインボーに居たデイヴ・ローゼンタールがわざわざ導入部を作曲し、中世のエジプト付近を彷彿とさせるイントロを聴かせてくれます。
これは是非リッチー師匠にもお聞かせしたい名演ですよ。
ラクダに乗って砂漠を渡っているかのような雰囲気。
さすがにこの曲のギターソロはオリジナルを超えるのは不可能なようで、イングヴェイもカヴァーしていますが全然駄目でした。
梶原氏も後半部はほぼコピーに徹しています。
ちなみに話題に乗っかるのが大好きなジョー・リン・ターナーも2曲ほどで1コーラス目を歌って参加しています。

少しギターが前に出過ぎている感もありますが、本作は、レインボーを聴いて育ったガキどもはこんなに立派なミュージシャンになりましたよ、と、敬愛を込めての偉大なる先人への謝辞となるのでしょう。
アルバム全体を通してレインボー及びリッチーへの壮大な愛とリスペクトを感じます。
動画はありませんでしたので、ドニントンでのモンスターロックフェスティバルでのリッチー、コージー、グラハムの勇姿をどうぞ。