エアロスミス 「美獣乱舞/Rock In A Hard Place」

美獣乱舞

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曲目

1. ジェイルベイト
2. ライトニング・ストライクス
3. ビッチズ・ブリュー
4. 彷徨えるボリヴィアン
5. クライ・ミー・ア・リヴァー
6. プレリュード(ジョーニーに捧ぐ)
7. ジョーニーズ・バタフライ
8. ロック・イン・ア・ハード・プレイス
9. ジグ・イズ・アップ
10. プッシュ・カムズ・トゥ・ショウヴ

気付いてしまったんですが、このブログで紹介して来たアルバムってけっこうベタな作品が多いんですよね。
私なんぞが紹介しなくたって皆が既に聴いてるんじゃないか、みたいな作品ばかりです。
という訳で、その反省を踏まえて本作の登場です。

今でこそエアロスミスと言えば誰もが知るモンスターバンドと認知されていますが、79年あたりから83年くらいまでは完全に死に体でした。
ジョー・ペリーに続いてブラッド・ウィットフォードも脱退。脱退したジョーも自らのバンド:ジョー・
ペリー・プロジェクトを始動させるも失敗しており、誰の目にもエアロは過去のバンドと化していました。
ちょうどそんなどん底期に発表されたのが本作です。
オリジナルメンバーであるスティーヴン・タイラー、トム・ハミルトン、ジョーイ・クレイマーに加え、ジョーとブラッドの後任にジミー・クレスポと何たらダフェイ(名前すら出てこないほど存在感希薄です)が参加しています。
はっきり言って、気の抜けたビールみたいな印象は拭えません。けど、結構曲はいいんですよ。

エアロって「Walk This Way」や「Rag Doll」に代表されるブラッキーなノリに韻を踏んだ歌詞・言葉遊びの組み合わせや「GetThe Lead Out」のようなブギー調を好むスティーヴン節に、ブリティッシュ・ロックに影響されたジョーのヘヴィでソリッドなリフやペンタトニック基本なソロが組み合わさっているという音楽性だと勝手に思ってるんですけど、本作ではジョー不在の分、スティーヴン節が炸裂してます。
オープニングの「Jail Bait」からスティーヴンがシャウトしまくりでストレート&シンプルなカッコ良さを表現、「LightningStrikes」でブリティッシュっぽいハードロック、「Cry Me A River」のようなスタンダード曲では思いっきり泣きのスティーヴン節を披露しています。
この3曲が個人的に大好きなんです。他にもハードロックの王道風タイトルトラック「Rock In A Hard
Place」、如何にもスティーヴンしている「Jig Is Up」と「Push ComeTo Shove」など、相当カッコいいです。
が、しかし。これにジョーとブラッドのギターが絡みつかないのが寂しい出来となってしまっています。
叶うことなら今のメンバーで再びこれらの曲を演奏して欲しいところですが、ま、ありえないでしょうね。

”逆境でロックする”とでも訳せそうなタイトルの本作。ジョー不在を何とかカヴァーしたいんだというスティーヴンの執念めいたものを感じます。
その後二人のギタリストが復帰してRun.DMCの「Walk This Way」PV以降完全復活を果たし、前人未到の
超モンスターバンドに昇りつめたのはご存知の通り。
やはり成功を収めるには逆境による試練が必要なのかも知れませんね。