アルカトラス 「No Parole From Rock'n'Roll」


ノー・パロール・フロム・ロックン・ロール (紙ジャケット仕様)

新品価格
¥2,624から
(2014/5/18 16:42時点)



グラハム・ボネットが1983年に結成したバンド、アルカトラスのファーストアルバム。


曲目

1. アイルランド・イン・ザ・サン
2. ジェネラル・ホスピタル
3. ジェット・トゥ・ジェット
4. ヒロシマ・モナムール
5. クリー・ナクリー
6. インキューバス
7. トゥ・ヤング・トゥ・ダイ,トゥ・ドランク・トゥ・リヴ
8. ビッグ・フット
9. スターカー・レーン
10. サファー・ミー

レインボー脱退後、MSG(マイケル・シェンカー・グループ)に草鞋を脱いだ「やっさん」ことグラハム・ボネットが、マイケルからも解雇されて遂に自分で立ち上げたバンドがアルカトラスです。
グラハムって、好みは別として、シンガーとしては満点だと思うんですが(一本調子に目を瞑れば)、どうも作曲能力がないらしいんですね。しかも、もともとポップス歌手ですからハードロックやブルースなんて全然好きじゃない。
だけどレインボーやMSGでの商業的成功を体験して、こりゃ儲かる業界じゃわいと感じたんでしょうね。スタープレイヤーと組んでいればライヴでの観客動員数が桁違いですし、当時のヘヴィメタルムーヴメントに乗っかってさえいれば、自分自身の話題性だけでも成功は必至でしたしね。
そんなわけで、グラハムにとってはどうしてもカリスマギタリストの存在が必要不可欠だったわけです。

グラハムが探したプレイヤーは、やはりリッチー・ブラックモアタイプだったようです。
往年のリッチーの人気とカリスマ性は他の追随を許さないものがありましたからね。
その結果グラハムがようやく見出したのが、元スティーラーのイングヴェイ・マルムスティーン。
当時のハードロックシーンは、リッチーは後期レインボーでポップ化を歩み始めた為、かつてのカリスマ性が激減し失速、期待の新星と騒がれたランディ・ローズも急逝してしまい、真のスター選手不在状態だったんですね。
そこにいきなり現れたインギーはあまりに新鮮でした。まだ先輩達に遠慮気味だった分、本性も現していませんでしたし。
リッチー信者のインギーは黒装束に白のストラトを担いでステージに上がり、アクションまでリッチーのコピーに徹していました。
その写真をヤングギター誌で見たときは、さすがに失笑ものでしたが彼のプレイは本家を凌ぐ凄さで私は心底度肝を抜かれたものです。

本作はインギー参加時の唯一のスタジオ録音盤です。
個人的お気に入りはレインボー風「ジェット・トゥ・ジェット」、キラーチューン「クリー・ナクリー」あたり。

インギーに振り回された結果、グラハムは後任のギタリストに、これまた凄腕のスティーブ・ヴァイを起用。
優れたアルバムをリリースしますが、結局スティーブも脱退。
どうもグラハムって人はスタープレイヤーに振り回されっ放しのまま終わったなという気がしますね。
日本ではそのルックスから「やっさん」の愛称で今でも愛されているグラハム。彼の歌うキャロル・キングの「Will You Love Me Tommorow」は味がありましたねぇ。