ジューダス・プリースト 「Priest…Live!」


プリースト...ライヴ!

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アルバム「TURBO」発売後の1986年「FUEL FOR LIFE TOUR」のテキサス州ダラスでのライブの模様を収録したアルバム。


曲目
ディスク:1
1. Out in the Cold
2. Heading Out to the Highway
3. Metal Gods
4. Breaking the Law
5. Love Bites
6. Some Heads Are Gonna Roll
7. Sentinel
8. Private Property
9. Rock You All Around the World
10. Electric Eye
11. Turbo Lover
12. Freewheel Burning
13. Parental Guidance
14. Living After Midnight
15. You've Got Another Thing Comin'

ディスク:2
1. Screaming for Vengeance [*]
2. Rock Hard, Ride Free [*]
3. Hell Bent for Leather [*]

これは好き嫌いがはっきり分かれるバンドでしょう。
敢えてカテゴライズすれば、やはりヘヴィメタルなんでしょうね。
間違ってもハードロックではないです。
何故ならそこにブルースのかけらも無いからなんですけど。
ジューダスの音楽ってグレン・ティプトンが書いたリフにロブ・ハルフォードが歌メロを乗っけてるんだと勝手に思ってるんですが、そのメロディがどこか哀愁漂ってていいんです。
しかもあの超絶ハイトーンで歌うんですから。
バンドの売りはK・K・ダウニングとグレン・ティプトンのツインギターに乗るロブのハイトーンシャウトと彼の絶大なるカリスマ性でしょう。
ステージ上のロブはバンドイメージ通りの神父さながらです。
但し、彼らの功罪の負の部分が大きいように私には思えるんです。
つまり、ヘヴィメタルというジャンルを確立して普及させたのは良いとして、それをコスプレチックにしちゃったのは決定的にマズかったんじゃないかと。
一時的にアメリカでブレイクし、商売繁盛したのは良かったんでしょうけど、ジューダス=コスプレでガキを喜ばすキワモノバンドというイメージを自ら作ってしまったわけです。
コージー・パウウェルが鋲尽きリストバンドを巻いてるのはカッコ良かったですが、全身レザーに鋲だらけだと、もう病的なものを感じてしまうわけでして…
あと、二人のギタリストが全く個性を出さなかったのも驚きでした。
何度聴いてもどっちがどっちのギターを弾いているのか判らないんです。
もう少し人間らしい感情というか、アドリヴや自己主張があっても良さそうなものなんですけど彼らはバン
ドに徹したということなんでしょうか。

ジューダスの編み出した音楽スタイルとは、とにかく全てリフです。
パワーコードのリフで全てを覆ってしまうというスタイル。
ツェッペリンにしろパープルにしろ、どこかに曖昧な部分を残しておいたものですが、ジューダスやウリ脱退後のスコーピオンズといったアメリカで大成したヘヴィメタルバンドは、とにもかくにも曲中をリフで埋めていました。
その結果、ハードでソリッドではあるけれども、どこにも感情移入する余白がないという、既成のロックとは明らかに違う形態になりました。
ま、それまで無かった音楽形態であることには違いありませんから、ヘヴィメタルという新たなジャンルを創ったという意味ではたいしたものです。
しかし、その代償として、印象に残るリフが無いんです。
曲中の全てがリフなので強烈なインパクトを持ったリフが生まれませんでした。
それでいいとジューダスは割り切ってるんでしょうかね。ちと寂しいところです。

さて本作です。ジューダス絶頂期のライヴパフォーマンスが堪能出来ます。
私はこれのDVDを見たんですが、見れば見るほど感情移入の余地が無いというか、下手したらカラオケじゃねーか、みたいな疑いすら持ってしまうほど一糸乱れぬ演奏です。
人間らしさがあまり感じられません。
CD通りのリフを刻んで、CD通りのソロを弾いて、決められた歌を歌い、打ち合わせ通りにヘッドバンキングして、計算されたキメの演出を行う。
芝居がかってるのは否定出来ないんじゃないですかね。
と、散々批評してますけど、どうしてどうして、いいんですよ。マジでいいです。
私のお気に入りは、ミッドテンポだけど何故かノってしまう「LoveBites」、彼らの代表曲「Electric Eye」、哀愁漂うけどカッコいい「Sentinal」、超絶ヘビメタ「Freewheel Burning」、アメリカマーケット狙いの「Turbo Lover」、アメリカ向けでジューダスマニアからはソッポ向かれてますけど何故か好きな「ParentalGuidance」、定番の「You've Got Another Thing Comin'」、昔からのキラーチューン「Hell Bnet For Lether」あたり。

ブルース好きな人はハナから聴かない方がいいでしょう。
そういった意味でこのバンドは聴き手を選ぶかも知れません。

あと、余談ですが、ロブ・ハルフォードって、ポール・マッカートニーや、ストレイ・キャッツのブライアン・セッツァーに似てませんかね。
同じ系統の顔だと思うんですが。余談ついでに、「Mr.ビーン」のローワン・アトキンスとリッチー・ブ
ラックモアも似てますよね。
ま、どうでもいい話ですけど。