ヴァン・ヘイレン 「炎の導火線」


Van Halen

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ヴァン・ヘイレンの1976年発表のデビュー・アルバム。


曲目

1. 悪魔のハイウェイ
2. 暗闇の爆撃. 01:42
3. ユー・リアリー・ガット・ミー.
4. 叶わぬ賭け
5. アイム・ザ・ワン
6. ジェイミーの涙
7. アトミック・パンク
8. おまえは最高.
9. リトル・ドリーマー
10. アイス・クリーム・マン
11. 炎の叫び

70年代中盤に突然現れた、ジミ・ヘンドリックス以来の「ギターの革命児」との誉れ高きエドワードと兄アレックスのヴァン・ヘイレン兄弟を中心に結成されたバンドがヴァン・ヘイレンです。
このアルバムを聴いた時、私はそれまで聴き慣れていたリッチー・ブラックモアの線の細いストラトサウンドと比べて、エディーのカキコキ、ゴリゴリ、ザラザラした太い金属的なハムバッカーサウンドに圧倒された覚えがあります。
特にキンクスの同曲カヴァー「You Really Got Me」でのズッシリとしたイントロはインパクトありました。
多用されたエフェクター(主にイコライザーとコーラス、ディジタル・ディレイ)の効果が抜群なんですよね。
エフェクターと言えば、ベースのマイケル・アンソニーの甲高いコーラスも曲を整えるのに効果的で、野太いデイブ・リー・ロスのヴォーカルと良くマッチしてました。

ヴァン・ヘイレンと言えばエディーです。彼のライトハンド奏法は文字通り、一世を風靡しました。
プロの一流プレイヤーから近所の中学生でもライトハンドしてました。今でも皆さん、やってますね。
私は苦手ですけど。ライトハンド以外にも、エディーが何気なく弾いているように聴こえるフレーズも、いざコピーしようとすると非常に難しかったりします。
多分エディーの手が大きいため指が大きく開くんじゃないでしょうか。
私もコピーに挑戦はしたものの、タブ譜を見て諦めたことが何度もありました。
特に本作の「I'm TheOne」で聴かせる超絶速弾きは圧巻で、ソロがクライマックスに達した直後の息の合ったアカペラがユーモラスながら、原曲のスピード感を強調しています。
それから、良く言われるのが歌のバッキングリフがいいと言うこと。
俗に裏メロと呼ばれるんですが、御大リッチー・ブラックモアあたりだと適当に流しそうな箇所でもエディーはきめ細かなリフを構築しています。
ま、デイヴの歌があまりにも適当だったのでギターによるフォローが不可欠だったのかなという気もしますが。
あと、大胆なアーミングも特筆に値します。それまではアーミングと言えばリッチーの専売特許だったのですが、エディーのアーミングはリッチーのそれとは一線を画していました。
ストラトキャスターのノーマルなトレモロユニットはアーム使用後のチューニング狂いに泣かされる事が多いんですが、エディーのギターにはフロイド・ローズと呼ばれる、ネック部に弦を押さえてしまうユニットが装着されているため大胆なアーミングを多用してもチューニングが殆ど狂わないんです。
したがってそれこそ自在なアーミングが駆使できました。
ピッキング・ハーモニックスとの併用により一段と効果的な響きをもたらしていましたね。

ま、いまさら私が素人解説するまでもなく、エディーのギターについてはセッティングから奏法に至るまで詳しい解説本がどこにでも売ってありますね。
ただ、エディーの泣き所はオリジナルヒット曲(というかキラー・チューン)の不在でした。
本作はまだ良いとして、2nd以降オリジナル曲に悩んだ様子でした。
「1984」の「Panama」は良かった。「Hot For Teacher」も良かった。
だけど、他には、いわゆるキラーチューンがあまり無いんです。
イングヴェイ・マルムスティーンにもいえる事ですが、ギターテクニックよりも良きコンポーザーであるこ
とが余程難しくて重要ですね。
エディーのことを想うとそれを痛感します。

余談ですが、ヴァン・ヘイレンがデヴューした時に雑誌「Rockin'ON」の主宰者である渋谷陽一氏が「上手いけれども人間的な感情が感じられない」みたいな論評を書いたことが記憶に残っています。
なるほど、言われてみれば確かにそうかな~とも思います。
ま、渋谷氏はジミー・ペイジ教の教祖みたいな人ですからテクニカル面でのコンプレックス故のやっかみだったのかも知れませんけどね。

前置きが異常に長くなりましたが、本作です。衝撃の1stアルバム。
私のお気に入りは「Eruption」から「You Really Got Me」、「Ain't Talkin' 'bout Love」「I'm The One」、「Jamie'sCrying」、「On Fire」あたり。
ハードロッカーの必聴盤です。