アイアン・メイデン 「キラーズ/Killers」


キラーズ

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1981年に発売した、初代ヴォーカルのポール・ディアノ在籍時最後のアルバム。


曲目

1. 3月15日
2. ラスチャイルド
3. モルグ街の殺人
4. アナザー・ライフ
5. ジンギス・カン
6. 無実の逃亡者
7. キラーズ
8. 悪魔の魔法
9. パーガトリー
10. トワイライト・ゾーン
11. ドリフター ※〈CDエクストラ〉

80年代初頭にNWOBHM(New Wave Of British HeavyMetal Movement)なる流行が発生しました。
70年代後半からイギリス中を席捲したパンク、ニューウェイヴに飽き飽きし、ハードなロックを欲する若者達の潜在的叫びだったと私は思っています。
このNWOBHM代表格がアイアン・メイデンでありワイルド・ホーシス、ガール、デフ・レパードだった訳です。彼らはヘヴィメタル新世代四天王と呼ばれメディアを賑わしましたが、結局残ったのはメイデンとデフ・レパードでした。
アイアン・メイデンと言えば伊藤政則氏の応援ぶりが有名です。
それ以前のスコーピオンズやジューダス・プリーストあたりのライナーノーツから感じていたことですが、伊藤氏のヘヴィメタルへの執念というか、熱き想いは並外れています。
ミュージックライフ誌などに彼が書きなぞる文章は、読んでいてこちらが恥ずかしくなるような表現ばかりでした。
でもまあ、ハードロッカーだった私には力強い援軍であった事も事実でしたがね。
当時私が買ったアルバムのライナーノーツって、その半分は伊藤氏が書いていた気がします。
マイケル・シェンカーを含むディープ・パープル系ですと酒井康氏が有名でしたし、ZEP一般やエアロスミスの「Rocks」は渋谷陽一氏が有名でしたね。
他にも水上はるこ氏、大貫憲章氏ら、一時代を築いたお歴々の文章を思春期だった私は貪り読んでロックへの造詣を深めたものですが、今はそういう風潮はないんでしょうかね。

さて、アイアイン・メイデンです。正直言って好き嫌いが別れるでしょう。
まあ、それくらい個性があった方が、万人受けするような大衆性とは対極に位置した孤高のバンドって感じでマニアックな固定ファンが確保出来るのかも知れません。
このバンド、ハードロック/ヘヴィメタルバンドとしては珍しくベース主体で作曲しています。
ベーシストはメタル界きっての切れ者:スティーヴ・ハリス。如何にも明瞭そうな顔をしています。
メイデンの曲はスティーヴのベースラインを中心に組み立てられているのが特徴です。

メイデンが大ブレイクしたのは二代目シンガー:ブルース・ディッキンソンの力に負うところが大きいのですが、天邪鬼な私は敢えて初代ヴォーカリストのポール・ディアンノ時代の本作を推します。
青臭い感じのするヴォーカルが、何となく若いメタルバンドを体現しているようで好きでした。
個人的に好きな曲はハードな「Wrathchild」、スティーヴの重く響くベースから始まるキラー・チューン「Murders in the RueMorgue」、キャッチーな「AnotherLife」、リフのカッコいい「Innocent Exile」あたり。
ちょっとクセが強いので、聴いていて凝った曲展開に疲れるかも知れませんが、ディープ・パープルを育てた名プロデューサー:マーティン・バーチの作ったサウンドはあっさりしていて聴き易いです。
メタルメタルしたサウンドを期待される向きには肩透かしを食らうかも知れません。

毎日食ってると飽きてしまうけど、たまに思い出して食べたくなるこってりラーメン。
私にとってはアイアン・メイデンはそんなバンドです。